2025年度最低賃金を先読みする!~東京は1,233円の70円アップか!?~
中央最低賃金審議会(厚生労働省)は、『2025年度最低賃金の目安を1,118円(全国加重平均)』とすることを決めました。2024年度比で63円アップとなり、2年続けて過去最大の引上げに!
具体的な引き上げの目安は、都道府県の経済状況によってつぎの3つのランクに応じて設定されています。
● A地域(東京・大阪など6都府県) 63円アップ
● B地域(北海道、京都、広島など28道府県) 63円アップ
● C地域(秋田、高知、沖縄など13県) 64円アップ
また実際の最低賃金は、地方最低賃金審議会(都道府県労働局)が中央最低賃金審議会に答申して最終的に決定し、地域差があるものの概ね今年の10月から適用されます。
【注】TOKYO経理サポートが一翼を担う、英和グループの英和コンサルティングからの記事提供の協力をいただいています。
◆ 目安に基づく藤堂府県別最低賃金は?
上表のように、2025年度都道府県別最低賃金の目安が決まり、これを元に2024年度最低賃金に加えて『2025年度最低賃金目安額』を求めると「全国平均額は1,118円」で、すべての都道府県で1,000円を超えることに。
● 最低賃金目安額でも1,200円台が!
最低時給最高額は東京の1,226円(24年度1,163円)で、神奈川も1,225円(同1,162円)と、1,200円台乗せとなりそうで、ざっと前年度比で5.4%の上昇に!
続く3位から9位までは次のとおりで、1,100円台乗せは8都道府県となる見通しです。
第3位 大 阪 1,177円 第4位 埼 玉 1,141円 第5位 愛 知 1,040円 第6位 千 葉 1,139円
第7位 京 都 1,121円 第8位 兵 庫 1,115円 第9位 静 岡 1,097円
● 下位(最低賃金1,010円台)は、東北圏と九州圏に集中!
下位は経済環境が厳しい地域に集中しており、秋田が1,015円で最下位にランクイン。岩手、沖縄、宮崎、熊本の4県が僅差の1,016円で続いています。さらに1円差で青森、鹿児島、長崎が1,017円で、13県が1,010円台となる見通しです。
◆ A地域の都府県の最低賃金を先読みする!
● 1,500円台が目標なら、今後4年は年8%程度の引上げに!
2020年代(=2029年度まで)に全国の最低賃金を1,500円台にする政府の目標を前提とすると、今年の平均6%の引上げでは到底間に合いません。来年以降の4年間に382円(1,500円-1,118円)引き上げねばらなず、アップ率は34%強にも上ります。ざっと毎年8%程度の引上げが必要になってしまうのです。もちろん、今の経済環境では8%もの引上げ率はあり得ません。
● 東京は目安を上回る1,233円か!?
このままでは2020年代での最低賃金平均1,500円台は夢物語となってしまいますので、東京はじめA地域の底上げ、つまり、目安額63円を上回る最低賃金の実現が欠かせないことに。
そこで、2025年度平均引上げ率6%を元に大胆にA地域の最低賃金を先読みしてみましょう。
● 東 京 1,233円 ● 神奈川 1,232円 ● 大 阪 1,181円
● 埼 玉 1,142円 ● 愛 知 1,141円 ● 千 葉 1,140円
ちなみに、2020年の東京の最低賃金は1,013円でしたので、5年で220円(+22%)のアップは(人手不足に悩む)中小企業には大きな負担となりそうです。
● 見方を変えると、中小企業には大きな負担が見えてくる!
東京の先読み最低賃金1,233円をもとに、フルタイムで働くと年収220万円にも上ります。
【計算式】2,219,400円=最低賃金1,233円×(7.5時間/日×20日/月)×12ヵ月(賞与ゼロを想定)
これに通勤手当と社会保険料の会社負担分などを加えると、ざっと年収に15~20%をプラスした『255~266万円』が実際の人件費の負担に。
たとえば、東京で主婦の方がパートで所得税のかからない123万円(基礎控除と給与所得控除の合計)以内で働くと、つぎのように月83時間(=週20時間程度)以内に収める必要が生じます。
【計算式】月83時間=123万円÷12か月÷最低賃金1,233円/時
週20時間=83時間/月÷4週
言い換えれば、週4日勤務なら1日5時間(午前9時から午後3時など)か、週3日では1日6~7時間となり、必要人員をカバーできません。もちろん、人手不足下での2人採用は厳しく、今後も予想される最低賃金の急上昇から経営のかじ取りは難しくなるばかりに。
◆ 賃金上昇への対応はどうする?
人件費の増加を販売価格に転嫁できている中小企業は5割弱(中小企業庁調査)でしかなく、このままだと経営悪化を招きかねないとか。
対応では「価格転嫁」が最優先課題ですが、つぎの対策も大きな効果が期待できます。
● 年収の壁(所得税の壁)の大幅引き上げ 政府の決断!
パートの方の「働き控え」がなくなるよう、年収の壁を年178万円まで拡げると、今年の東京の最低賃金でも、週4日で1日当たり7.5時間の勤務が可能に。
⇒政府による税制改正が不可欠ですが、壁を123万円から178万円に引き上げても、差額55万円は最終的に消費され、国には消費税となって還流します。また、消費が活性化して、経済にも良い影響を与え、法人税などの税収が増える方向に。
● 業務の省力化による生産性の向上が急務! 経営者の決断!
米国の6割といわれる日本企業の生産性を向上させて、売上に対する付加価値(利益など)を増やすことが最優先課題とされています。具体的には、省力化投資(設備投資などで人手だけに頼らずに済む環境作り)や設備投資によるコスト削減が挙げられます。
⇒こちらも、政府による設備投資への支援(補助金・助成金)が不可欠です。