経理改善お役立ちコラム

支払代行はどこまで頼める?~支払代行関連サービスのまとめ~

 中小企業にとって大切な業務のひとつが「取引先などへの支払(送金)業務や納税」です。実はこうした支払関連業務についても代行してくれる経理代行会社があります。

 経営者の中には「どうやって支払業務などを代行するのか、代行会社に虎の子の資金を預けるのはとてもムリなど」、もっともな心配をされる方もお出でですので、具体的な支払代行サービスについて詳しくみていきましょう。

支払代行サービスの基本的な流れ

 「支払いまで任せて、ウチの会社は大丈夫か?」との声が聞こえてきそうですが、その一方で、多忙な経理は支払業務も業務のひとつのため、そうそう時間をかけてはいられず、その結果、送金ミスや送金遅れ、送金洩れなどで、取引先との関係がうまくいかなくなるケースも。
 まず支払業務の重要性をご理解いただき、さらに、実際の支払代行ではお金に直接絡まないので安心であること知っていただきましょう。

● 支払業務は会社の信用にかかわる!

 支払(振込)業務自体は難しい仕事ではありませんが、振込が遅れたり、振込金額を間違えれば会社の信用に傷がつき、ワーストシナリオでは取引停止の可能性すら考えられるため、支払業務は重要な経理業務のひとつといえます。
 こうしたことから、経理社員がいても正確でタイムリーな支払や経理不正を防ぐ観点などから、支払代行を検討される会社(経営者)が増えています。
● インターネットバンキングの活用でサービス提供
 支払代行では「インターネットバンキング上で支払データの登録作業」を行いますが、お客様の現預金にはノータッチで、もちろんお預かりすることも一切ないので安心です。
 インターネットバンキングの利用者IDにはそれぞれ必要な業務についての権限設定ができるため、経理代行会社には送金権限がないID(送金データの登録、送金先マスターの追加修正の権限のみ)を発行していただきます。このため、代行会社が勝手にお客様の資金を送金できないわけです。

 以下、支払代行の代表的な5つのサービスをみていきましょう。

取引先等への支払の流れ

 仕入先、消耗品・家賃・水道光熱費などの支払を代行する業務の流れは次のとおりです。
◆ 請求書の提供:お客さまが対応
 毎月
届く請求書はその内容をチェックして、支払いOKかを確認のうえ、代行会社に提供します。提供方法は次の2通りがあります。
 ● 原本(請求書)の郵送:
郵便料金が必要で、郵送日数がかかる。
 ● 原本をスキャナー取込みし、PDFデータを共有フォルダで共有:
複合機でPDF化すれば、手間もかからずコストも不要
 インターネットバンキングで送金データを登録:代行会社が対応
 代行会社はネット上で
送金データを登録申請し、お客さまに報告します。つまり、前述のように代行会社はお金にはノータッチなので、会社資金を流用されることもありません。
 お客さまのご要望で、毎月、支払一覧表を作成して提供するケースもあります。
◆ 送金の承認作業:お客さまが対応
 
お客さまの管理者権限のある方(通常、社長や専務など)がネットバンキング上で、IDとパスワードを入力して送金データの承認業務を行います。最初は慣れないので抵抗感がありますが、一度承認手続きを経験していただくと驚くほど簡潔で、手慣れればものの数分で承認業務は完了します。
 承認後は、送金指定日に実際の送金が実行されます。

給料・賞与の送金の流れ

 通常、給与などの支払代行は、毎月の給与計算などの代行サービスの延長線上で提供されます。この支払代行の流れは次のとおりです。
◆ 社員の勤怠データなどの提供:お客さまが対応

 社員の時間外の勤務時間、有給休暇の取得、欠勤などの勤怠データや変動支給の手当や控除項目の資料を提供いただいた後は、すべてペーパレスで代行会社が給与計算を済ませ、給与統計表(給与計算結果の一覧表)を納品するとともに、給与の支給日には給与明細をWeb上で社員が閲覧できるよう、掲載準備をします。
◆ インターネットバンキング上で給与送金データを登録:代行会社が対応
 代行会社はネット上で各人別に送金データ(給与の手取り額)を登録申請したら、速やかにお客さまに報告します。このフローは前述の取引先等への支払代行業務同様で、代行会社はあくまでも送金データの登録に限られ、お金にノータッチのため不安が生じません。
◆ 送金の承認作業:お客さまが対応
 
管理者権限のある方がネットバンキング上で、IDとパスワードを入力して送金データの承認を行っていただきます。
 承認後は、送金指定日に実際の送金が実行されます。

源泉所得税の納付の流れ

 まだまだ顧問税理士から納付書をもらって、銀行に出向いて送金されることの多い「給与などの源泉所得税」についても『納税代行』で、面倒や手間も解消します。
 『納税代行』の流れは次のとおりです。
◆ 書類やデータの提供:お客さまが対応
 給与に加えて、税理士や弁護士などの士
業からの請求書、外注費の請求書、講演謝礼金などがあれば、代行会社に源泉所得税の計算に必要な書類やデータを提供いただきます。
 もちろん、給与計算も、支払業務も代行会社に依頼していれば書類などの提供は必要ありません。
◆ 
納税額の集計:代行会社が対応
 源泉所得税の納付書の種類ごとや区分ごとに
支払額と納付すべき源泉税額を集計します。
◆ 
納税データと口座振替日の登録:代行会社が対応
 代行会社が、国税庁の
e-Tax上で「納税データや口座振替日」を登録します。
 承認手続きなどは必要なく、振替指定日に指定の預金口座から源泉税額が引き落とされて、納税は完了します。

特別徴収の住民税の納付の流れ

 毎月の給与から天引きされる特別徴収分住民税の『納税代行』の流れは次のとおりです。
◆ 特別徴収住民税の通知書の提供:お客さまが対応
 毎年5月頃に送られる、社員のお住まいの市区町村からの特別徴収住民税の通知書を代行会社にまとめて提供いただきます。この書類は年に一度だけです。
 代行会社は
給与システムに社員ごとに毎年6月と7月以降に給与から特別徴収する住民税を登録し、毎月の給与から天引きされる住民税を正しく反映するようにします。
◆ インターネットバンキング上で納税データを登録:代行会社が対応
 代行会社はネット上で、社員の居住する各市区町村別に、納税(特別徴収分住民税)データを登録申請したのち、速やかにお客さまに報告します。
 また、eLTAXという地方税電子納税システムで代行する方法もあります。
◆ 送金の承認作業:お客さまが対応
 管理者権限のある方がネットバンキング上で、IDとパスワードを入力して納付データの承認を行っていただきます。
 承認後は、振替指定日に納付が実行されます。

海外への支払の流れ

 海外の取引先への送金も支払代行業務のひとつとして対応する代行会社もあり、その場合の流れは次のとおりです。
◆ 請求書の提供:お客さまが対応
 海外の取引先からお客さまに
届く請求書の内容をチェックして、支払いOKかを確認のうえ、代行会社に提供します。
 海外送金は、アンチマネーロンダリング(反資金洗浄法)の関係で金融機関は「送金目的、決済口座、決済通貨など必要な情報」について厳しく確認を行うため、代行会社にそれら必要情報を伝えます。
◆ インターネットバンキング上で海外送金データを登録:代行会社が対応
 代行会社はネット上で海外送金データを登録申請し、お客さまに報告します。また既述のように、代行会社はお金にはノータッチのため、資金が流用されることはありません。

◆ 海外送金の承認作業:お客さまが対応
 お客さまの
管理者権限者はネットバンキング上で、IDとパスワードを入力して海外送金データの承認を行っていただきます。承認後は、送金指定日に実際の海外送金が実行されます。

承認をお客さまにお願いするワケ

 このように支払代行の業務フローをご覧いただくと、送金の承認が必要な場面が登場します。その際、次のような理由でお客さまに『承認手続きをお願い』しています。
◆ 信頼関係構築と残高管理・送金内容の最終確認のため

 代行会社は「支払代行業務に使うネットバンキング用ID」には承認権限を付与させていません。
 その理由は、代行会社は外部の会社であり、信頼関係を持続する意味でもお客さまの預金口座には手を触れず、直接、支払は行わないことを基本原則としているためです。

 また、お客さまには毎月、あるいは日々の資金繰りを管理されておられるため、『送金指定日に残高が不足しないかの確認』もお客さまが最終的に承認されること重要であり、送金の承認はお客さまにお願いしています。
◆ オプション・サービスとしての承認代行
 
代行会社によっては例外的に『承認代行』まで対応している会社もあります。この場合は、インターネットバンキング上の承認権限も代行会社に付与していただき、そのIDで承認作業(=送金)を代行します。

 TOKYO経理サポートでは、承認をご担当いただく経営者が多忙すぎて承認作業が滞ってしまう恐れがあるなどでご依頼がある場合は、資金繰り状況などを考慮させていただいたうえで、例外的に『承認手続き』まで代行しています。

「支払代行」の活用メリット

 「支払代行」サービスを活用されると、どのようなメリットやデメリットがあるでしょうか?
まずは、活用メリットからご紹介しましょう。

 なお、こうしたメリットやデメリットをわかったうえで、支払代行活用のプラスの方が大きいと判断できれば、積極的な活用をお勧めします。

メリットその1:送金ミスや支払洩れの防止

 「送金すべき金額の誤り、支払の洩れなどのミス」は会社の信用問題となりかねません。ひとり経理などでは、上長のチェックなどがないので、ミスの発生リスクが高まります。

 一方、適切な内部統制を講じる経理代行会社では、担当者以外の上長によるダブルチェックなどは欠かさないため、こうしたミスが抑えられ、会社の信用を毀損する恐れが極めて少ないといえましょう。

メリットその2:社内不正の防止

 中小企業ではひとり経理状態の会社も多く、経営者も不安を感じながらも「預金口座の管理・決済など会社資金の重要な部分を任せきり」のケースも多くみられます。
こうした経理社員がフリーハンドで送金できる環境は『社内不正』を誘発する大きな要因となりがちです。

 経理代行の利用では、「経理業務の見える化(可視化)」し、第三者の目が入ることで内部統制が強化でき、経理が支払業務にタッチすることもないために、経理社員による不正な送金なども抑制できます。

メリットその3:業務時間の短縮、カット

 中小企業の多くの経理は、まだまだ銀行に出向いての送金手続きをされているケースも多くみられます。経理代行を利用されると、そうしたケースで実際にかかっているコスト【★銀行窓口へ出向く時間、★待ち時間、★振込依頼書の作成などの時間】のすべてをカットできます。

 また、社内でネットバンキングを利用しているケースでも、経理が行う「送金データの登録、送金先マスターの追加登録などのデータ処理」には時間が取られています。この場合でもこうした時間は不要(ゼロ)になりますので、その分付加価値の高い業務(分析資料の作成や営業サポートなど)に時間を振り向けられます。

 これからは、どんな仕事でも時間をかけて済ませるのでなく、効率よく短時間で業務をこなし、貴重な社内人材には付加価値の高い仕事に就いてもらうことを志向する時代です。経理代行はそうした場面での活用に打ってつけといえましょう。

メリットその4:ノー退職リスク、ノービョウケツ!

 中小企業の場合、ひとり経理や少数の経理社員で経理業務全般を回しているため、送金業務をすべき時期での病気欠勤や、時期に関わらず退職リスクが付きまといます。

 ところが経理代行を活用されていれば、こうしたリスクはありません。代行会社では担当者が休んでも、急な退職に遭っても、代わって対応できるスタッフがおり、支払業務などが滞ることはなく、安心いただけます。

「支払代行」を利用する場合のデメリット

 では、お客さまが支払代行を利用する場合に生ずるマイナス要因としてのデメリットをご覧いただきましょう。

デメリットその1:緊急時の対応には不向き

 社内処理している場合は”今日届いた請求書を今日データ登録して、明日送金する”といった柔軟な対応もできますが、代行会社ではこうした緊急対応は現実的ではありません。

 ちなみにTOKYO経理サポートでは、臨時送金の多い会社については「1週間に一度程度」をベースとして締め日と送金日を決めていただき、支払代行業務を行っています。

デメリットその2:現金管理や手形管理の依頼はムリ!

 経理代行会社では現金などの現物は預からないため、現金、小切手や受取手形の管理は社内に残ることに。

 経理代行を活用される場合は、次のように管理方法をシンプルにされるようお勧めします。
● 現  金

 キャッシュレスの時代です。現金の取扱いはやめるか、最少額だけ残して現金精算は例外的に認める形とする。
 原則として、経費は社員による立替えを前提として、月1回など給与での精算とする。
社員の負担を配慮するなら、月1万円などを仮払し、毎月使った額を給与で精算する方法も検討する。
● 小 切 手

 取引先に頼んで、小切手での回収から、会社指定口座への送金としてもらう。
送金手数料は請求額から差し引かれることも受け入れる。
● 受取手形

 受領後、銀行に取り立て依頼に回すか、割り引いて現金化する。
ただ、受取手形も”でんさい”を利用する方向で、最終的には遠くない将来、紙の手形はなくなります。

デメリットその3:社内での業務処理ノウハウの蓄積は困難!

 代行会社に外注すると、どんな業務もその対応ノウハウを社内では蓄積できません。

 それでも経理代行の活用で、社員の本業への集中をつうじて事業収益をアップさせる機会をつくれ、また、より付加価値の高い業務に就かせることで、収益貢献度の高い業務のノウハウが蓄積できます。
 経理業務の社内処理にこだわられるより、こうした方向への転換を図ることが人材確保が困難な時代に適しています。

TOKYO経理サポートオリジナルの支払代行関連サービス

 TOKYO経理サポートでは、支払代行業務に付随して次のようなサービスもご提供していますので、何かと安心していただけます。

短期資金繰り予定表の提供

 TOKYO経理サポートでは、資金繰りが厳しい会社や定期的な預金口座間の資金移動が必要な会社などに向けて、短期の資金繰り表を作成し、ご提供しています。
 
 弊社で記帳代行、給与代行、支払代行などをご依頼いただいているお客さまでは、預金口座ごとの残高データは弊社がネット上で確認し、支払代行をつうじて買掛金や未払金の支払予定も確認でき、また諸経費の支払見込みなどは弊社が毎月の平均値などを用い、お客さまには「売上債権(売掛金や受取手形)の回収予定は販売管理システムなどから入金予定毎のデータを吐き出し」ていただくだけで、資金繰り予定表を作成します。
もちろん、特定日ごとの口座間の資金移動指示(A口座からB口座へ××万円移動など)も反映した短期資金繰り予定表をお届けします。

 なお入金予定の把握で、販売管理システムを使用されていないケースでは、弊社がお客さまから得意先ごとの売上代金の入金予定をヒアリングして、それをシステム化して回収予定日毎にまとめ上げることもできます。

インターネットバンキングの導入サポート

 インターネットバンキングは金融機関によって”できること”と”できないこと”があり、月額コストや使い勝手の良さなども大きく異なります。

 TOKYO経理サポートでは、代行業務をつうじて培ったDX化ノウハウをもとに、金融機関やネットバンキングサービスの種類の選び方の提案を含め、実際のインターネットバンキング導入のサポート・サービスを提供しています。

電子納税環境の立ち上げサポート

 顧問税理士が法人税申告書を電子申告していても、電子納税の仕組みは使わないまま「税理士から納付書を渡されて銀行窓口で納税している」会社は意外に多いようです。

 TOKYO経理サポートでは、法人税、消費税、源泉所得税、特別徴収住民税、法人事業税・住民税等の電子納税の環境の立ち上げをフルにサポートしています。

支払通知書の作成および郵送代行

 各種報酬や謝金の支払代行では、送金業務だけでなく相手先への支払通知書の発行が必要な場合が多く、毎月支払通知書を作成・印刷のうえ郵送する業務も代行しています。

 あわせて翌年1月には、前年1月から12月までの支払金額と源泉徴収税額を集計して支払調書を作成のうえ、相手先別に郵送する業務も代行しています。

まとめ

 支払代行業務が、単なる銀行での送金業務の肩代わりとかなり異なる点はお判りいただけ、さまざまな支払代行サービスの業務の流れもご理解いただけたのでは?

 支払に関連する資金繰りは経営上の重要なポイントです。帳簿上は利益が確保できても、実際に資金が付いてこなければ倒産リスクさえ生じかねません。
 また、給与、仕入代金や諸経費をミスなく支払期限までに送金するためには、安定した体制で業務を回す支払代行の活用は大変に有効です。

 TOKYO経理サポートは、中小企業とそのオーナーのサポートに強みを持つ「英和コンサルティング」「英和税理士法人」と連携して運営しており、高品質な経理業務をリーズナブルな価格で提供しています。
 支払業務だけでなく関連業務もまとめてお引き受けしていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

 導入に関するご相談やお見積りは無料です。

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