経理改善お役立ちコラム

記帳業務が回らなくなったときの3つの対策~そのメリットとデメリット~

 経理代行のお問合せでは、必ずといってよいほど”記帳代行についてのご相談”があります。
 忙しくて記帳処理まで手が回らない、経理社員の退職で記帳処理が半年以上溜まってしまったなど、お困りの会社も多いようです。

そもそも記帳業務とは?

 記帳業務は、売上や仕入れ、各種経費の支出などの企業活動上の取引について会計処理を行って、最終的に、月次決算書類(B/S:貸借対照表、P/L:損益計算書、C/S:製造原価報告書、変動損益計算書など)を作成する仕事をいいます。
こうした業務をつうじて、会社で保存すべき「仕訳日記帳、総勘定元帳、補助簿などの会計帳簿」も同時並行で作成されます。
 実務的な流れとしては、会計処理自体は会計システムへの仕訳入力で完了し、月次決算書類や会計帳簿も結果として作成されます。

 つまり記帳業務がタイムリーに行われないと、企業の財務状況を正確に把握することもできず、当然、適切な経営判断もできないうえ、金融機関からの資金調達もできない結果に。また、税務申告においても正確な記帳は必要不可欠です。

記帳業務が回らなくなった時の3つの選択肢

 社内で記帳業務が回らなくなった時には、次の3つの選択肢が考えられます。
◆ 社内対応:新たに経理人材を採用
◆ 外部委託:顧問税理士法人や税理士への依頼
◆ 外部委託:経理代行会社や記帳代行専門会社への委託

【選択肢1:社内対応】新たに経理人材を採用する

 どこの会社でも、まず退職社員の代わりとなる経理人材の採用を検討されますが、年々経理の採用は難しくなっています。ちなみに記帳業務担当者には、どのような適性や知識が必要とされるのでしょうか。
● 正確性と注意力
 決算書の元となる
細かい会計数値を扱うため、正確な処理を心がける注意深さが求められます。
● コンピュータスキル
 
会計ソフトを正しく使用するための基本的なコンピュータスキルが必要です。
● 消費税の知識
 
昨年からスタートした消費税のインボイス制度の影響で、インボイス番号や税率の確認ほか会計処理する際の注意点が増えています。
● 簿記、会計の知識
 
簿記の知識があると、会計処理(仕訳入力)でとても役に立ちます。
 もし採用される人材に「記帳業務」以外の業務も担当してもらおうとのお考えなら、年々複雑化する税制や電子帳簿保存法、社会保険や労働関連法規などの基本的理解も必要で、こうした人材はそう簡単には確保できないのが現状です。

【選択肢2:外部委託その1】顧問税理士法人や税理士への依頼

 自社で記帳処理した会計データをもとに、決算ならびに法人税や消費税などの申告書作成業務を行うのが税理士法人や税理士です。一般的には、会社の業務内容や記帳内容も理解しているはずなので、顧問税理士などが会社に代わって記帳業務を担当してくれるなら、品質面からも安心して任せることができます。

 また会社によっては、経理社員が小口現金と預金取引だけを入力し、それ以外の仕訳は会計事務所が追加するなど、役割分担しているケースもあります。まずは会社で行っていた記帳業務の内容もきちんと把握しておきたいところです。

【選択肢3:外部委託その2】経理代行会社や記帳代行専門会社への委託

 経理代行会社などでは経理処理業務が滞りなく遂行できる体制(ダブルチェックや内部けん制の仕組み)を整え、最新の会計基準や税制にも精通する専門家もいるため、通常はコンプライアンス遵守(法令遵守)を前提とした適切な会計処理が行われます。経理代行会社に月次決算業務を委託すると、タイムリーに完成した月次決算書が納品されます。

 なお、顧問税理士などに毎月自社処理した会計処理結果をチェックしてもらっていた場合には、そうした業務は必要なくなりますので、顧問税理士の顧問料は見直し余地が生じます。顧問税理士との事前の協議・確認をお忘れなく。

3つの対応の選択肢のメリットデメリット

 次に、3つの対応の選択肢のメリットとデメリットについて考えてみましょう。

選択肢1:社内対応のメリットとデメリット

● 社内対応によるメリット
・ 臨機応変な対応がしやすい

 業務の進捗状況に応じた対応や細かな変更にスピーディに対応できるため、記帳業務に柔軟な対応がしやすくなります。
・ 社内ノウハウが蓄積できる
 個別の業務についてノウハウや知識が社内に蓄積でき、経理のスキルアップにつながります。

● 社内対応でのデメリット
・ 適切な経理社員確保の難しさ
 少子高齢化による人手不足で、経理社員の採用自体が難しい時代です。また、経理業務を内製化し続ける限り、社員の退職リスクを常に抱えることになります。
・ 専門知識の不足リスク

 DX化やペーパレス化の進展や経理業務の複雑化により、社員によっては記帳処理に関する最新の知識・情報やIT技術の活用ノウハウが不足する可能性があります。
・ 付随するコストの負担

 社員の採用にあたっては、給料・賞与の直接人件費に加えて、社会保険料の会社負担分などの法定福利費、福利厚生費に加えて、育成や研修のための費用や社員の使うPC等の環境整備(会計システムの導入・メンテナンス費用含む)にもコストがかかります。

選択肢2:外部委託のメリットとデメリット

 税理士法人や経理代行会社などの外部委託のメリットとデメリットをまとめてご紹介しましょう。
● 外部委託のメリット

・ 専門知識や最新情報を活用できる
 税理士法人などや経理代行会社は最新の会計や税務の知識や情報を持ち、IT活用技術も持っているので、高品質のサービスが受けられます。
・ コストを変動費化できる
 経理業務を内製化していると、業務量が増えれば固定給や時間外手当などの増加ないし経理社員の増員を迫られ、固定費の増加につながります。
 一方、経理代行会社への委託では、業務量に応じてコストが増減する、つまり、コストの変動費化が可能となり、コストの上昇を最小限にできるメリットが生じます。
・ 本業への人材の集中
 ルーティンワークや本業以外の専門知識が必要な業務は経理代行会社に任せて、貴重な社内人材(労働力)はより付加価値の高い業務(収益源となる業務)や社員でないとできない業務に集中投下して、業務効率を向上します。

● 外部委託のデメリット
・ 社内ノウハウが蓄積されない
 成果物としての月次決算書類や会計帳簿などが納品されるため、記帳業務自体のノウハウなどは蓄積できません。
・ コントロールの難しさ
 イレギュラー事項への対応などでは、社内対応のようなスピーディ処理は難しいことが考えられます。

経理代行会社や税理士法人に記帳代行を依頼時の3つの注意点

 最後に、経理代行会社や顧問税理士法人などに記帳業務を委託する場合の注意点をご案内しておきましょう。

 記帳代行業務には資格は必要とされませんが、記述のように簿記や会計、税法に関する幅広い知識がなければ適切な記帳処理ができません。経理代行会社(記帳代行専門会社)や顧問税理士法人(税理士)に委託される際は、下記に注意しておきましょう。

内部での検証体制

 「会計処理担当者が入力してそれを上司がチェックする」などのダブルチェック体制が敷かれているかの確認は大切です。

 代行会社や税理士法人でも、入力担当者の会計処理そのままで月次決算書や会計帳簿など納品されるケースもあるようです。特に、記帳業務では消費税の会計処理の取扱いは難しさを増しており、代行会社なら税理士法人がバックについていて、指導監督が入る状況ならより安心です。

タイムリーな納品スケジュール

 経理代行会社への委託では、資料受領後何営業日以内に納品するなどの契約があれば、タイムリーな月次決算の実現につながります。ベストなのは、経理代行会社に「経理代行の年間スケジュール」を作成してもらい、それに則って納品がなされるように契約することです。

 顧問税理士などへの記帳代行を依頼される場合では、こうしたスケジュール化はされていないケースが多く、特に、会計事務所にとっての毎年1月から5月頃の超繁忙期は、月次決算はできあがってたときに納品ということも多くみられます。

 お客さまの中には経理代行会社に任せたものの”納品スケジュール”が守られず、他の経理代行会社に変更されるケースもあります。経理代行会社の納品スケジュールの考え方や、それが守られるかどうかは確認しておきましょう。

顧問税理士への事前確認

 顧問税理士などがお出での場合は、次のようなステップを踏まれてどこに委託するかの結論を出されるとよいでしょう。
● 記帳代行の対応は、顧問税理士に相談する!

 もし記帳代行業務だけの委託を検討されるようなら、代行会社よりも、まずは顧問税理士に記帳代行の対応を相談されるよう、お勧めします。
 もちろん、代行会社同様、適切に契約を取り交わして、約定通りに納品してもらえることを前提としましょう。

 ただTOKYO経理サポートの経験では、顧問税理士も処理代行業務に対応する人材を採用しておらず、お断りになるところも多いようです。
● 顧問税理士に利用中の会計ソフトの変更を相談する!

 経理代行会社では、社内で利用中の会計ソフトとは異なる会計システムを利用するケースがあります。お客さまで顧問税理士が勧めた会計ソフトを導入中のケースもあるので、代行会社への委託の話の前に、顧問税理士には会計ソフトを変更しても問題ないかを相談されておくといいでしょう。
 もちろん、顧問税理士の変更も同時に検討される場合はそうした相談は必要ありません。
● 記帳代行と申告業務をセットでの依頼余地も!

 「顧問税理士には記帳代行を断られたので代行会社に頼むことにしたが、ついでに申告書の作成も頼めないか?」といった相談をお受けすることもあります。
 税理士法人がバックに付いている経理代行会社であれば、記帳代行と税務申告を同じグループにまとめて依頼でき、安心感があります。

まとめ

 いかがでしたでしょうか?

 記帳業務が滞ってしまうと、会社の財務の健康状態がみえなくなり、資金繰りや業績が把握できないうえ、急な借入時には金融機関に直近の財務諸表を提出できないなどの弊害も生じることに。記帳業務を長期間しないまま外注しても、決算・申告に間に合わないリスクなど、会社の信用に重大な影響を及ぼしかねません。

 現在、記帳処理業務を社内で行っている会社でも、企業物価の上昇や急速な人件費の急騰への対応などから、人財は会社の本業に集中投下して、1人当たりの収益性を高められることをお勧めします。そのための有力手段として、今から経理業務の外部委託の検討がお勧めです。

 TOKYO経理サポートは、中小企業とそのオーナーのサポートに強みを持つ「英和コンサルティング」「英和税理士法人」と連携して運営しており、高品質な経理業務をリーズナブルな価格で提供しています。
記帳業務を安定的に回せる体制にしておきたいような場合には、当社へのアウトソーシングを選択肢に入れ、まずはお気軽にお問い合わせください。

 導入に関するご相談やお見積りは無料です。

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