経理改善お役立ちコラム

給与計算でミスが多い原因と、未然にミスを防ぐ7つの発想

 一見、単純業務に見える給与計算は、所得税法、労働関連法などさまざまな法律が関連するために、かなりややこしい業務となっています。毎月の給与支給項目ひとつ取っても、基本給のほかに時間外を含む勤怠データ、各種手当データ、扶養家族の情報、通勤手当など、就業規則や賃金規程に則った解釈や仕組みを理解しての取組みが欠かせません。また、経理担当者の多くはプロでなく、過去の経験の延長線上で給与計算にあたっているため、思わぬところでミスが発生しがちです。
 
 また、2024年の定額減税に続き、2025年は給与所得控除と基礎控除の大改正の年、給与計算、年末調整は複雑化し、特にミスしやすい年といえるでしょう。
 
 そこで今回は、給与計算でミスが多い原因と、ミスを防ぐ発想(対応策)をご案内します。
 給与計算業務に不安がある会社では、参考にされ給与計算業務の見直しにお役立てください。

よくある給与計算でのミスの5つの原因

 給与計算ではミスは付きものとはいうものの、なぜミスが多く発生するのでしょうか?

 実際の給与計算は、勤怠データ、社員の情報変更、各種手当の変更、有給休暇の取得、社会保険料の変更、住民税の変更、今年なら定額減税など、毎月のように「変更・変動への対応」が求められる、複雑で面倒な業務なのです。

 ミスが多い原因を次の5つに分類して、個別にその内容を探ってみましょう。
◆ 手入力によるミス
◆ 複雑な勤怠ルールによる残業の洩れ
◆ ひんぱんな手当(控除)の変更によるエラー
◆ 給与の締め日から支給日までのスケジュールがタイトでのミス
◆ 担当者の知識不足によるミス

手入力によるミス

 給与計算システムや勤怠管理システムを導入する会社も増えていますが、すべてをシステム化されているわけでなく、手作業の工程が残されているケースも多く、それによる次のようなミスの原因が生じています。
● タイムカードの手作業集計:
 打刻型のタイムカード方式を採用しており、勤務時間はカードから手作業で集計
● 勤怠システム上の残業を手作業で調整:

 勤怠管理システムを利用しているが、残業時間は手作業で丸め直し
● 給与送金データの手入力:

 ネットバンキングで給与送金データを一人分ずつ手入力

 要は、手作業が入り込む、手当支給で個別の判断が必要、ITに関する知識不足などが原因で、せっかくシステムを使っていても、そのメリットを引き出せていない状況に。

複雑な勤怠ルールによる残業の洩れ

 勤怠ルールは会社によってさまざまで、同じ会社でも職種や部署によって何種類かの勤怠ルールがあるところも多くみられます。フレックスタイム制やテレワークなど、多様な働き方を促進する流れの中で、勤怠ルールが複雑化され、細かくなればなるほど、担当者は判断まで加わって集計業務の難易度があがり、担当者でも間違いやすく、それ以外の社員では実務処理できない状況にまでなりがちです。

 勤怠管理システムを導入しても、複雑化した従来の勤怠ルールを元に使い、自動集計できない会社もあり、システム導入の意味が問われる状況に。

ひんぱんな手当(控除)の変更によるエラー

 昇給や降給は年に一度実施する会社が多いものの、中にはひん度が高い会社もあります。
その際、変動額が大きい(標準報酬が2等級以上変動するケース)と、”月額変更届”を提出して社会保険料の見直しが必要になります。この届出や、提出後の新しい保険料への変更を失念してしまうミスが発生しがちです。

 また会社によっては、インセンティブ手当など毎月手当額の変更が必要となる”変動手当”があり、毎月変更箇所が多い場合には変更洩れにつながりやすい状況となります。

給与の締め日から支給日までのスケジュールがタイトでのミス

 中小企業では、毎月給与は15日で締めて25日に支給、月末締め翌月15日支給など、給与の元となる勤怠の締め日から支給日までの期間が短い会社が数多くみられます。
● 半月に一度は週休3日:

 2024年は土日が104日、国民の祝日は16日、振替休日のない土曜祝日2日を除くと、118日がお休み。また、年末年始の休日は6日程度で、元旦を除くと年に123日が休みのため、ひと月平均10日1/4が休日となり、言い換えれば半月に一度は週休3日ということに。
● 給与の送金は支給日の3営業日前まで:

 社員給与の振込は、支給日の3営業日前までに手続きが必要です。例えば9月の給与(15日締めで25日支給)なら、16日が敬老の日、21・22日が土日、23日は振替休日と、この間4日の休みが入り、営業日数では支給日まで6日しかありません。振込手続きは19日までに終える必要ですので、事実上9月は17日と18日しか、勤怠データの締めから給与計算、支払い手続き、給与明細の作成などに時間を割けないことに。

 担当者は時間的余裕がない中でも何とか毎月給与計算業務をこなしている結果、会社として”締め日と支給日”について問題意識を持たずに済ませている状況です。結果として、表ざたにならないミスを含めて、誤りが発生しやすい環境にあります。

担当者の知識不足によるミス

 給与計算を適切に処理するには所得税、社会保険、就業規則(賃金規程含む)などの知識が必要です。
 多くの会社では前任者から引き継いだやり方で処理されており、各種規程との整合性の確認などがもれていたり、税制改正・各種保険料の改定や算定基礎後の新社会保険料の控除などへの対応、新たな手当の追加、新しい勤務形態などの際に、正しい処理ができておらずミスに気付かないまま給与計算が行われているケースをよく見かけます。

間違えの例
 ●課税通勤手当があるのに、分けていなかった
 ●家賃補助を非課税扱いにしていた
 ●永年勤続表彰金を給与計算に計上していなかった
 ●残業手当の計算対象が賃金規定と合っていなかった 

 特に、計算が複雑化している”未払残業代”がある場合には要注意です。気付かずに計算違いをしていたとしても、未払残業代は会社経営に影響を与えかねないトラブルにつながりがちで、単なる計算ミスで片づけることはできません。

未然にミスを防ぐ7つの発想

 給与計算でのミスやエラーを防ぐには、現状の延長線上でなく、発想の転換でミスなどが発生しにくい体制づくりや、ミスなどが生じたときに気付く体制づくりが欠かせません。
 では、ミスを未然に防ぐ7つの発想をご紹介しましょう。
 ”チェックリスト”の作成と”ダブルチェック”の習慣づけ
◆ システム利用などで手作業を減らす
 給与計算ソフトの利用
 賃金規定や締め日などスケジュールの見直し
 研修などで、基礎知識や改正について理解を深めさせる
 社内の諸規則や労働基準法と、実際の計算方法の一致の確認
 アウトソーシングの活用

 以上のように、社員の能力に依存する仕組みでなく、毎月正確に再現できるルールや仕組みづくりの大切さをご理解いただけるのではないでしょうか。

”チェックリスト”の作成と”ダブルチェック”の習慣づけ

 ひとり経理が一般的な中小企業では、他の社員が給与計算結果をチェックすることは不可能です。社長としても、経理以外の社員が他の社員の給与を知る機会が生じることも避けたいところです。

 現状でやれることは、業務の流れに沿って給与計算結果をチェックするリストの作成です。おざなりなチェックリストでは確認の意味がありません。人間がやるためにミスなどの根絶は難しくても、経理が自分で結果を確認するなら”適切なチェックリスト”を用いて検証して、その証拠を残す習慣づければミスなどの大幅削減につながるでしょう。
 中小企業なら、社長など企業トップによる計算結果のチェックも、経理担当者への内部けん制から有益です。

システム利用などで手作業を減らす

 給与計算で手作業に頼る工程は主に次の3種類の業務があげられ、こうした手作業箇所でミスが発生しがちです。
● 勤怠データの集計

 打刻式の紙のタイムカード集計に時間を取られているケースは多くみられます。
タイムカードから残業時間や在社日数に応じた食事回数の集計などに時間がかかるばかりでなく、打刻洩れや二重打刻・印字が薄くて読めないなどがひんぱんに発生し、社員への確認などの手間もかなりかかっているのが実情です。

 勤怠管理システムを導入すると、打刻洩れはパソコン上での視認で督促できる
うえ、就業規則や賃金規程に沿った適切な勤怠データの集計ルールの事前設定で、短時間で集計できます。
 社内ルールが複雑で勤怠管理システムの導入はムリという会社もありますが、逆転の発想で社内ルールさえ見直せればシステムも問題なく導入できます。勤怠管理が透明化でき、社員の会社への印象にも変化が見え始めます。
● 送金データの入力
 給与計算ソフトを利用していながら、毎月、一人分ずつ送金データ登録をされている話もよくお聞きします。
 給与計算ソフト上で送金データを作成して、そのデータを活用することで送金額のミスは確実に防止できます。
● 給与明細の配布
 過去からの慣習で、経理(や社長)が紙の給与明細を社員に渡されている会社もおありです。また事業所が複数ある会社では、各事業所分を責任者宛に送り、責任者が明細を社員に配布するケースも決して少なくありません。

 いずれにせよ、紛失リスクや時間のムダなども生じ、誤って他人の給与明細を渡すミスや配布洩れがあった場合はさらに大きな問題に。WEB給与明細の導入で、こうした問題がすべて解決できます。

給与計算ソフトの利用

 給与計算ソフトは費用がかかるからと、Excelで給与計算を行っている会社もあります。これまでは何とか機能しているから大丈夫と思っていても、支給や控除項目に追加があったり、所得税・社会保険料の計算対象項目に間違いがあった場合、税額表や社会保険料が更新されていない場合、介護保険料の控除洩れなど、状況の変化に対応できないまま間違った給与計算を続けているケースが多いのが実状です。

 給与計算業務は毎月の給与計算に加えて、賞与計算、算定基礎、年末調整など年に何回か発生する臨時業務も含めると、複雑で難易度の高い業務です。給与計算ソフトを利用すれば、勤怠データの取り込みなどもでき、原則的には改正法にも対応するためミスなく計算を終えられます。
また給与送金データの作成もでき、関連業務の効率化にもつながります。

賃金規定や締め日などスケジュールの見直し

 変動手当の項目数が多い会社では”毎月、変更が生じる手当の管理で手間が発生”してミスを誘発することが多く、また、複雑な勤怠管理ルールや締め日から支給日までタイトな給与計算スケジュールのせいで、給与計算の過程でミスやエラーを生じさせがちです。
● 勤怠ルールの見直しと管理システムの導入:
 勤怠ルールが複雑すぎて勤怠管理システムは導入できないといわれる会社もありますが、この機会に思い切って、シンプルなルールへの見直しを検討されてはいかがでしょう。
業務の効率化とミス防止には、システムの導入(DX化)で管理をカンタンにできるよう見直すのがお勧めです。
● 簡単で受け入れられやすい勤怠ルールの例:

 毎月15日締めで25日支給のスケジュールは、給与担当者にとってはかなりハードです。こうした場合は、”勤怠の締め日の変更”を検討しましょう。時間外手当、遅早控除や有休消化・欠勤などは翌月の給与で反映する仕組みにするだけで、慌てずにミスの少ない給与計算が実現できます。
● ネットバンキングの利用で、振込手数料の節約メリットも:

 ネットバンキングで、支給日の3営業日前までに給料の登録と承認をすれば、給与総合振込用の安い手数料で済ませられオトクです。
 仮に間に合わない場合なら、総合振込(支給日前日のデータ登録承認で送金できる)を利用することになり、一般の送金と同額の手数料がかかります。つまり、スケジュールなどの見直しで毎月のコスト削減にもつながる余地があるわけです。

研修などで、基礎知識や改正について理解を深めさせる

 給与計算は労働基準法、所得税、社会保険など幅広い知識が必要とされる難易度の高い業務です。年末調整では毎年のように改正があり、今年は定額減税の事務も追加されました。労働基準法の改正も毎年のようにあり、その中で自社に関係する部分はきちんと押さえておかねばなりません。
また、”算定基礎届の作成”や”労働保険の申告”などは、担当者にとっては年に一度しか発生しない忘れがちな業務なので、毎年リマインドが必要です。

 官公庁の研修動画や、給与ソフトベンダーの提供する研修などの活用で、コストを押さえながらの研修も可能です。
 担当者が一つひとつの仕組みへの理解を深めれば、業務処理のスピードアップやミス防止につなげる余地が生まれます。

社内の諸規則や労働基準法と、実際の計算方法の一致の確認

 就業規則や労働基準法にしたがって給与計算ができていなければ”間違い”となりますが、確認されていますか?

 給与代行で見積もり依頼をいただいた数多くの会社様で、過去の賃金台帳などを確認すると、残業時間の丸め方などで社内規定と給与計算のやり方が一致していないケースは高い割合で出てきます。違っていても、従業員にとって有利な計算方法になっていたり、労働基準法に照らしてみると適正なら、社員にからすると問題視されないこともありますが、一度は確認しておきたいところです。

 また中には、「みなし残業時間を超える残業時間について、残業手当を支給していない(=つまり、労働基準法違反)」という会社もありました。未払残業代は経営の根幹をゆるがしかねない大きな問題になりがちです。
早めにプロに相談して解決しておきましょう。

アウトソ-シングの活用

 給与計算に必要な知識とノウハウをもった経理代行会社に給与計関連算業務を委託すると、スピーディな処理と高品質の納品が実現し、ミスが発生しづらい体制への切り替えにつながります。
ただし、各社独自のルールがあるため勤怠集計の代行はしないので、勤怠システムの導入はお勧めです。

 給与計算のアウトソーシングでは次のようなメリットが期待できます。
● 業務品質が担保される
● 新たな人材の募集や育成が必要ない
● 給与計算ソフトの導入やアップデートが不要
● 知られたくない役員報酬や他の社員の給与情報の秘密保持が可能
● 突然の退職リスクがない!
● 代行料は計算対象者数に応じた変動コストでリーゾナブル
 

TOKYO経理サポートの『Smart給与代行』の活用事例

 ここからは当社の給与計算等代行サービス『Smart給与代行』の活用事例をご案内しましょう。

Excelでの給与計算をやめて、経理代行に切り替えたケース

 担当者の退職でTOKYO経理サポートにご相談いただいたケースです。

 見積もり時の当社の業務分析を通じて、「前担当者のExcelシートでの給与計算に多くの間違い」が判明しました。新たに給与計算ソフトを導入して人材を育てる余裕はないとの社長の判断で、給与計算から送金データ登録、各種納税、そして給与明細のWeb配信までまとめてご依頼いただきました。

完全に社外管理に体制を変えたケース

 経理社員に「役員報酬や他の社員の給与を知られないようにしたい」との社長からの要望があったケースです。

 秘密保持を前提とした対応に切り替えるべく、給与計算、送金業務、各種納税をTOKYO経理サポートで、社会保険関連業務は提携の社労士法人で代行しました。今まで紙で配布していた給与明細はTOKYO経理サポートのWeb配信への切替えで、すべての業務のペーパレス化まで実現しました。
もちろん、給与計算結果や社会保険の書類は社長にだけ納品されるようになりました。

社労士への委託から切り替えたケース

 これまで給与計算を社労士に委託し、給与計算結果と給与明細を納品してもらい、社員への送金、住民税の納税、給与明細の配布は経理が行い、源泉所得税の納付書は顧問税理士にデータ登録してもらった上で、経理がインターネットバンキングで納税する分業体制で、やり取りにもかなり時間がかかっていたケースです。

 『Smart給与代行』なら、会社は”入退社情報と勤怠の連絡だけ”すれば、その後の「給与計算、社員への送金、各種納税、給与明細のWeb配信」まですべてお任せで面倒がかからない【=ワンストップショッピングの実現】ということで、ご依頼いただきました。

まとめ

 社内での給与計算ミスをなくすには、原因を突き止めて、業務フローの見直し、システムの導入、研修の実施など、適切な対応が欠かせません。
一方で、給与計算のアウトソ-シングにより「ミスをなくし、確実性を高める」選択肢も考えられます。

 TOKYO経理サポートは、中小企業とそのオーナーのサポートに強みを持つ「英和コンサルティング」「英和税理士法人」と連携して運営しており、高品質な経理業務をリーズナブルな価格で提供しています。 

 給与計算ミスを防止したいがなかなかうまくいかないなどの際は、当社へのアウトソーシングを選択肢に入れ、まずはお気軽にお問い合わせください。
導入に関するご相談やお見積りは無料です。

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