経理改善お役立ちコラム

経理のミスに損害賠償請求は可能?会社に生じ得る損害や予防策をわかりやすく解説

経理は、社内の非常に重要な業務を担います。そのため、経理担当者がミスをすると、会社に大きな影響が及ぶ可能性が低くありません。

では、経理がミスをして会社に損害が生じた際、経理担当者に対して会社が損害賠償請求をすることはできるのでしょうか?また、会社は経理のミスに対して、どのような予防策を講じれば良いのでしょうか?

今回は、経理のミスで会社に発生し得る損害や経理担当者への損害賠償請求の可否、会社が講じるべき対策などについてくわしく解説します。

経理のミスで会社に発生する主な損害

経理担当者が業務でミスをした場合、会社にどのような損害が生じる可能性があるのでしょうか?
会社に生じ得る主な損害は次のとおりです。

  1. 取引先からの信頼が失墜する
  2. 粉飾決算の責任を追及される
  3. 追徴課税の対象となる
  4. 資金繰りの悪化に気付くのが遅れる

取引先からの信頼が失墜する

経理担当者は、請求書の発行や振込みなどの業務を担うことが多いでしょう。この業務でミスをして請求金額を誤ったり振込み期限に遅れたりすれば、取引先からの信頼が失墜する可能性があります。

ミスが頻発して取引先に迷惑をかければ、取引を見直されてしまうかもしれません。

粉飾決算の責任を追及される

経理担当者は日々発生する取引の記帳を行い、決算書作成のベースとなる帳簿を作成します。
この帳簿に大きな誤りがあれば、粉飾決算であるとして会社に対して責任が追及される可能性があります。

追徴課税の対象となる

粉飾決算とは反対に、経理のミスで会社の利益を過少に計上した場合には、税金を本来より少なく申告してしまうかもしれません。その場合には、税務調査で申告漏れを指摘され、追徴課税の対象となる可能性があります。

追徴課税とは、追加で納める税金です。税金を本来よりも過少に申告した場合には本来支払うべきであった税金との差額のほか、ペナルティとしての「過少申告加算税」と利息としての「延滞税」を納めなければなりません。

また、仮にミスではなく仮装隠蔽であると判断された場合には、過少申告加算税ではなく、より重い重加算税の対象となる可能性があります。

資金繰りの悪化に気付くのが遅れる

経営陣が経理担当者の作成した資金繰り表などをもとに、重要な経営判断をすることは少なくないでしょう。しかし、経理担当者のミスにより実際よりもよい資金繰り表が出力されていれば、経営陣が資金繰りの悪化に気づけないかもしれません。

その結果、誤った経営判断をしてしまったり、資金繰りの手当をするのが遅れてしまったりする可能性があります。

経理のミスに対して会社が損害賠償請求できる?

先ほど解説したように、経理のミスは会社に大きな損害を与える可能性があります。
では、経理がミスをした場合、会社は経理担当者に対して損害賠償請求をすることができるのでしょうか?

「ミス」であれば損害賠償請求は難しい

経理担当者の行為によって会社に損害が生じた場合において、経理担当者へ損害賠償請求ができるかどうかは、ケースバイケースです。

まず、経理担当者がわざと(故意に)会社に損害を与える目的で不適切な処理を行ったり横領をした場合には、損害賠償請求が認められる可能性が高いでしょう。一方、単なる「ミス」であれば損害賠償請求は困難です。

また、経理担当者の責任が認められても、会社側の責任と相殺され非常に少額となる可能性が高いでしょう。

実際には事案ごとの判断となるため、経理担当者に対して損害賠償請求がしたい場合には弁護士へ相談することをおすすめします。

損害賠償請求額の予定は認められない

経理担当者のミスに対して損害賠償請求ができるとしても、実際の損害額を算定することは容易ではありません。そこで、たとえば「甲(経理担当者)の過失によって当社に損害が生じた場合、甲は当社に対して50万円を支払う」などと、損害賠償の予定額をあらかじめ雇用契約書などで定めておきたいと考える場合もあるでしょう。

しかし、このような条項は認められません。なぜなら、労働基準法第16条で「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定められているためです。

この規定に違反した場合には、会社側が6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される可能性があります。

損害賠償請求の給与天引きは認められない

経理担当者のミスに対して損害賠償請求が認められた場合、その後も雇用を継続するのであれば、経理担当者から賠償金を受け取る一方で、会社からは給与を支給することとなります。そのため、賠償額を給与から天引きすれば効率的であると考えるかもしれません。

しかし、これは「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」とする労働基準法第24条に違反します。違反した場合には30万円以下の罰金に処される可能性があるため、注意しましょう。

経理でミスが生じる主な原因

経理でミスが生じる場合、その原因はどこにあるのでしょうか?
考えられる主な原因は次のとおりです。

  1. 経理担当者の知識が不足しているから
  2. マニュアルが整備されていないから
  3. ダブルチェック体制が整っていないから
  4. 人手不足で業務の負担が重いから

経理担当者の知識が不足しているから

1つ目は、経理担当者の知識不足です。

経理業務を適切に遂行するためには、高い専門知識が求められます。たとえば、前任の担当者が急に退職をしたことから焦って経験の浅い担当者を採用してしまった場合などには、ミスが生じる可能性が高くなるでしょう。

マニュアルが整備されていないから

2つ目は、経理のマニュアルが整備されていないことです。マニュアルがなく引き継ぎも不十分であれば、ミスを避けることは難しいでしょう。

一方で、経験の浅い経理担当者であっても、マニュアルがきちんと整備されていればミスなく業務を遂行しやすくなります。

ダブルチェック体制が整っていないから

3つ目は、ダブルチェック体制が整っていないことです。

経理は企業の「お金」に直結する業務を担うことが多く、ミスをすれば大きな損失が生じてしまいかねません。
ダブルチェック体制が整っていない場合にはミスが発生しやすく、またミスの発覚も遅れてしまいがちでしょう。

人手不足で業務の負担が重いから

4つ目は、人手不足から経理担当者の業務負担が重いことです。

業務量が加重であれば一つひとつの処理に十分な時間をかけづらくなり、ミスをしやすくなるでしょう。また、加重労働が常態化していれば、心身の疲弊から注意力が散漫となる可能性もあります。

経理のミスを防ぐために企業が講じるべき対策

経理のミスを防ぐために、企業はどのような対策を講じればよいのでしょうか?主な対策は次のとおりです。

  1. ダブルチェック体制を整える
  2. 研修やトレーニングを徹底する
  3. 経理マニュアルを整備する
  4. 経理業務をアウトソーシングする

ダブルチェック体制を整える

経理のミスを防ぐためには、ダブルチェック体制の構築は不可欠です。

たとえば、大きな金額を振り込む際に振込金額や振込先に誤りがないか複数人で確認をしたり、現金の出し入れを複数人で行ったりするようルールを整備することなどが考えられます。

研修やトレーニングを徹底する

経理担当者の能力向上や改正情報への対応のため、経理担当者に定期的な研修やトレーニングを実施することも、ミスを防ぐ対策の一つの方法です。
外部研修なども定期的に受講させ、知識や技術が陳腐化しない対策を講じると良いでしょう。

経理マニュアルを整備する

経理担当者を雇用している以上、いずれは退職したり休職したりする可能性があります。そのような際にスムーズに引き継ぎができるよう、日ごろからマニュアルの整備に取り組んでおく必要があるでしょう。

経理マニュアルは、急きょ第三者が業務を遂行することとなってもミスをしないような内容で作成することをおすすめします。また、マニュアルは一度作成して完了するものではなく、定期的に見直すことも必要です。

経理業務をアウトソーシングする

ダブルチェック体制の整備やマニュアルの整備などが望ましいとはいえ、人員などに限りのある中小企業がこれを実施するハードルは低くないでしょう。そこでおすすめなのが、自社の経理機能をまるごとアウトソーシング(外注)することです。

経理機能をプロにアウトソーシングすることでミスを最小限に抑えることが可能となります。他にも、経理機能をアウトソーシングにはメリットが少なくありません。
アウトソーシングの主なメリットは次のとおりです。
● 高品質な経理を実現できる
● 業務の繁閑に対応しやすい
● 自社従業員に役員給与などを知られない
● コストが削減できる可能性がある


● 高品質な経理を実現できる

経理業務をプロにアウトソーシングすることで、高品質な経理を実現できます。これにより、ミスを最小限に抑えることが可能となるでしょう。

また、自社で経理担当者の教育や研修を行う必要もありません。

● 業務の繁閑に対応しやすい
経理業務は年間を通じて平準化しづらく、決算期に業務量が集中するなど、時期によって繁閑の差があることが少なくありません。しかし、自社で担当者を雇用した場合には、柔軟に人員調整をすることは困難です。

そのため、繁忙期には経理担当者が残業を重ねるなどして対応していることも少なくないでしょう。

一方、経理機能をアウトソーシングした場合には、アウトソーシング先にて人員の調整を行うため、繁閑への対応がスムーズとなります。

● 自社従業員に役員給与などを知られない
経理担当者は、自社の機密情報に触れる機会が少なくありません。たとえば、企業の業績や役員給与の額などが挙げられます。

経理担当者がこれらの情報をうかつに漏洩してしまうと、社内に混乱が生じかねません。そのため、経理担当者を雇用する際には、信頼できる人物であるかどうか特に慎重になる企業は少なくないでしょう。

一方、経理機能をアウトソーシングした場合には、自社の従業員に業績や役員給与の額などを知られずに済みます。

● コストが削減できる可能性がある
経理機能のアウトソーシングには、多額の費用がかかると考えている方も少なくないようです。

確かに、責任を持って業務を遂行する以上、それなりの費用はかかります。しかし、経理機能のアウトソーシングは、自社で経理担当者を一人雇用するよりもリーズナブルな価格で実現できることが少なくありません。

当社TOKYO経理サポートの経理代行サービスでは代行する業務内容によって料金が異なる変動制をとっていますが、従業員10名程度の企業のモデルケースでは、経理業務をまるごとアウトソーシング頂いても月額15万円程度です。

お見積もりは無料ですので、アウトソーシングした場合にかかる費用が知りたい場合には、まずはお気軽に当社までお問い合わせください。

まとめ

経理は非常に重要な業務を担うことが多く、ミスをすれば会社に大きな損害が生じてしまいかねません。また、ミスをした経理担当者から十分な損害賠償を受けることは困難です。そのため、企業としては経理担当者のミスを防ぐ対策を講じる必要があるでしょう。

企業が講じるべき対策は、マニュアルの整備やダブルチェック体制の徹底、研修やトレーニングの充実などです。しかし、人員や資金に限りのある中小企業にとって、これらの対策を徹底するには容易ではないでしょう。

そこでおすすめなのが、経理機能のアウトソーシングです。経理機能をプロにアウトソーシングすれば自社で経理業務を行う必要がなくなり、ミスの可能性を最小限に抑えることが可能となります。また、自社で研修をしたり、経理マニュアルを整備したりする必要もありません。

当社TOKYO経理サポートでは、経理業務をまるごとアウトソーシングできる「Smartおまかせ経理」を展開しています。TOKYO経理サポート中小企業とオーナー様のサポートに特化した英和税理士法人が母体となって運営しており、安心して経理業務をお任せいただけます。

経理のミスを避けたいとお考えの際には、TOKYO経理サポートまでお気軽にお問い合わせください。導入に関するご相談やお見積もりは無料です。

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