請求代行サービスはどこまで頼める?~請求代行関連サービスのまとめ~
中堅企業以上では請求業務を営業部門が担当するケースが多いのですが、少数精鋭の中小企業では「経理が請求事務」を担うことも多く、経理人材の確保に悩む経営者の皆さまから「請求書の発行や売掛金管理などの業務代行」についての相談が増えています。
では、経理代行会社の請求代行サービスでどのような業務を依頼できるのか、メリットやデメリットなどについて詳しくみていきましょう。

請求書の作成方法は大きく3つ!
請求代行サービスの内容に入る前に、まず請求書の作成方法を考えてみましょう。
請求書の作成方法は、大きく3つに分類できます。
● Excel(エクセル)やWord(ワード)のテンプレート(ひな型)を用いて作成
● 販売管理システムから作成
● 請求書発行システムで作成
ExcelやWordのテンプレートで作成する方法
「得意先名、取引年月日、品名、金額を差し替えれば請求書ができあがる」よう、準備されたテンプレート(ひな型)を利用して作成する方法です。
取り扱う商品(製品)種類がすくない業態や、サービス業など「業務内容を個別に記入、あるいは、毎月、定額報酬を請求する業態」などに向いています。
その反面、卸売業など複数の納品書から集計して請求書を作成するケースでは、集計作業が必要なうえ、金額などのチェックも含め、作業負担が大きくなりがちです。
システム利用などと違い、利用コストがかからない点はメリットですが、インボイス制度導入などへの対応で「自社でフォーマット見直しの手間やコストが発生」します。
また、この方法では「個別の請求書ファイル」が作成できるものの、請求合計表や得意先別・品目別などの分析ができない点がデメリットといえます。
販売管理システムから作成する方法
販売管理システムでは、「見積書、発注書、日々の納品書など取引関連データを入力管理」でき、関連業務として請求書作成機能が付いています。
蓄積された販売関連データをさまざまな切り口で分析して、自社の経営に活かせます。中堅企業以上では、会計、人事、労務、在庫管理なども含めた基幹システムのひとつとして導入されている会社も多くみられます。
販売管理システムにもよりますが、「請求書のメール配信機能」がないこともまだまだ多く、その場合は後述の請求書発行システムを利用して、メール配信できます。
請求書発行システムで作成する方法
請求書発行システムでは、「請求データの入力や取り込みにより、請求書を作成」します。請求書は、印刷して郵送やメール配信できるシステムとなっています。インターネット利用を前提のクラウドシステムのため、比較的低価格帯のものもあります。
このシステムは、請求書のメール配信機能が付いていることが多く、「特定の得意先あての請求書を、担当者宛に送信できる仕組み」になっており、メール送信でありがちなファイルの添付ミスや送信アドレス間違いなどを確実に防止できます。
請求書発行システムには、★請求データの蓄積機能や消込機能があるもの、★請求書を作成して発行するだけのものがありますので、導入目的に応じて適切な製品を選びたいものです。
請求代行で依頼できる3つの業務
請求代行では、「取引先への請求書の作成・発送といった請求にかかわる面倒な業務をまとめて引き受けてくれます。また、請求書発行後の「売掛金の入金確認(消込業務)」も代行してくれることが多いようです。
つまり、自社で請求内容をまとめた後の作業は、すべて一括しておまかせとなります。
具体的には、次のように3種類の業務を依頼できます。
◆ 請求書の作成(発行)業務
◆ 請求書の郵送ないしメール業務
◆ 売掛金の消込業務
請求書の作成(発行)業務
請求書作成の代行業務の流れは、次のとおりです。
● 請求根拠データ:お客さまが対応
請求書を作成するための元となる金額などを確定させて、代行会社に提供します。
● 請求書の作成:代行会社が対応
お客さまから提供された「請求の根拠データ(Excelなどのテンプレート利用でも、システム利用でも)」を元に、代行会社が請求書を作成します。
● 請求書の印刷:代行会社が対応
代行会社では、作成後に請求書を印刷します。得意先からの指定用紙がある場合は、予め代行会社に預けておきます。
請求書の郵送ないしメール業務
得意先への請求書のお届けは次の2種類の方法をとります。
● 請求書の郵送:代行会社が対応
印刷した請求書を折りたたんで封筒に入れ、郵送します。切手代は実費精算となります。
● 請求書のメール配信:代行会社が対応
★ メール配信機能があるシステム利用の場合:
メール配信機能が付いていれば、得意先宛ての請求書をその担当者に確実にメール配信できます。
★ メールにPDF添付で送信する場合:
代行会社に依頼する場合、代行会社用のメールアドレスを作成のうえ付与して、そのアドレスから請求書のPDFファイルをメールに添付して案内してもらうフローになります。
売掛金の消込業務
売掛金が銀行口座などに入金した際の消込業務は、次のようなフローでの対応となります。
● 入金口座の取引情報の提供:お客さまが対応
売掛金が入金する銀行口座の取引情報を代行会社に提供する必要があります。
あらかじめネットバンキング(ネット口座)の閲覧権限【注】を代行会社に付与しておけば、この手間もカットできます。
【注】あくまでもネット口座の入出金情報を閲覧したり、そのデータをダウンロードするだけの権限の付与で、決済などはまったくできない権限の付与となります。
● 指定方法で売掛金を消込:代行会社が対応
お客様の指定する方法で、売掛金の入金データを登録(消込)します。
ちなみに、売掛金入金の消込方法には次のような方法があります。
★ 販売管理システム(請求書発行システム)上での消込
システム上に蓄積された売上データの中で、売掛金の入金処理(消込)をする方法です。
★ 会計ソフト上での消込
記帳代行業務を行う際に、売掛金に得意先ごとの補助CD(コード)を持たせて、入金時に得意先(補助CD)ごとに売掛金を消し込んでいく方法です。
★ Excelの管理表などでの管理
Excelの売掛金管理表を作成し、売掛金の発生額と入金額を入力して残高管理します。
「請求代行」活用のメリットとデメリット
「請求代行」サービスを活用されると、どのようなメリットやデメリットがあるでしょうか?
まずは、活用メリットからご紹介しましょう。
なお、こうしたメリットやデメリットをわかったうえで、請求代行活用のプラスの方が大きいと判断できれば、積極的な活用をお勧めします。
「請求代行」活用メリット
請求代行の活用で、次のように大別して5つのメリットが得られます。
◆ メリットその1:経理担当者の業務効率の向上
一般的に、経理は多岐にわたる業務を抱えており、特定業務に集中できないことも多くみられます。請求書発行などの業務の代行会社への委託により、経理は本来の経理関連業務に集中して、業務効率アップにつなげることができます。
◆ メリットその2:専門性と正確性
請求書の作成や売掛金の消込管理に精通した専門家が請求関連業務を代行するため、ミスが少なく正確な請求が可能です。
◆ メリットその3:売掛金管理の徹底
消込管理がタイムリーが実施され、売掛金の残高管理も的確にでき、回収もれや回収遅延リスクの減少につながります。
◆ メリットその4:得意先との対応が不要
請求根拠作成以外の請求関連業務を専門の代行会社に委託することで、請求ミスや請求書発行の遅延などによる得意先からの直接的なコミュニケーション対応が不要となり、経理は本来業務に集中できます。
◆ メリットその5:社員の退職リスク・欠勤リスクの回避
請求書の発行業務は、会社の資金繰りに影響を与えるため、毎月、一定期限までに完了させる必要があります。たとえば、経理社員の退職や欠勤があったとしても、業務対応は欠かせません。
請求代行の活用で、安定した請求書の発行や売掛金の消込が実現します。
「請求代行」活用のデメリット
では、請求代行を活用される場合のマイナス要因としてのデメリットをご案内しましょう。
◆ デメリットその1:緊急時の対応には不適
社内処理していれば「今すぐ請求書を作成して発送したい」といった柔軟な対応もできますが、代行会社はスケジュールに基づいたサービスのため、こうした緊急対応は現実的ではありません。
◆ デメリットその2: 社内での業務処理ノウハウの蓄積は困難!
代行会社に外注すると、どんな業務もその対応ノウハウを社内で蓄積できません。
それでも経理代行の活用で、社員の本業への集中をつうじて事業収益をアップさせる機会をつくれ、また、より付加価値の高い業務に就かせることで、収益貢献度の高い業務のノウハウが蓄積できます。
経理業務の社内処理にこだわられるより、こうした方向への転換を図ることが人材確保が困難な時代に適しています。
TOKYO経理サポートでの代行事例
では、これよりTOKYO経理サポートで「請求代行を活用されている2つの事例」をご紹介しましょう。
ケース1:請求書の発行・発送のご依頼事例
卸売業(小規模)の会社で、社長が自ら経理を担当されています。
多忙なために、月初に発行の請求書の準備が負担になっていることから、TOKYO経理サポートへご相談いただきました。
● 請求代行委託前の会社の状況
・「請求書は納品時に持参」が多かったが、社長が自ら持参すると、価格などを交渉されてしまうことがあり、悩みのタネであった。
・毎月、月初の1週間で得意先に請求書を渡したいが、多忙が故に遅れてしまうことも多々あった。
・販売管理システムは導入ずみで、納品書を発行するとそのデータから請求書が作成できる仕組みになっている。
◆TOKYO経理サポートでの対応
毎月、月初5営業日までに、指定された請求書を印刷のうえ、確実に郵送することをお約束して、次のような対応を図ることになりました。
● スケジュールの徹底
TOKYO経理サポートでは、すべての代行業務の納期などを1年分の業務カレンダーで事前にご案内いたします。
請求書は、毎月納期までに確実に得意先宛てに発送しますので、請求(値引き要求含む)に関する不安がなくなることに。
● 窓あき封筒の利用
ミス防止と業務の効率化のため、窓あき封筒を用意いただきました。
なお、窓あき封筒は弊社にて在庫管理しています。
ケース2:システム導入からサポートの丸ごとおまかせ事例
請求書の発行もれやミス、入金遅れが発生していたため、TOKYO経理サポートへご相談いただきました。
◆ 請求代行委託前の会社の状況
・請求書は、Excelフォーマットで作成していた。
・これとは別に、Excelで「請求一覧表」を作成していた。
・得意先への請求書は、全体の9割が郵送だった。
◆ TOKYO経理サポートでの対応
会社の現状を踏まえて、「請求書の作成、郵送またはメール配信、売掛金の入金消込まで一連の業務」を丸ごとお受けして、次のような対応することとなりました。
● 請求書発行システムの導入の提案
請求件数が多く、将来的に請求書のメール配信を検討されていたため、請求書発行システムの導入を提案しました。
また、当時は消費税のインボイス制度開始前だったことから、インボイス制度への対応システムを前提に、メール配信する請求書が電子取引データとして電子保存義務が生じるため、電子帳簿保存法要件を満たすシステムを検討しています。
● 請求書発行システムの立ち上げサポート
効率的に請求書発行が進むよう、過去の請求書や管理ファイルをもとに得意先データ、品目などを分析して整理し、改善提案のうえ、複雑な基本情報の設定を代行してシステム導入をサポートしました。
● 請求根拠データ用フォーマットの提供
ミスなく請求書の作成ができるよう、請求根拠データを入力いただくためのExcelフォーマットを準備、提供しました。
● 売掛金の消込は記帳代行にて対応
記帳代行もご依頼いただいた関係で 会計システム上で売掛金に得意先CDを付けて、売掛金の入金(消込)処理を行っています。
TOKYO経理サポートでは、支払代行のご依頼に加えてネットバンキングの利用権限も付与していただいたため、銀行口座の取引データも弊社で確認でき、お客様にお願いすることはなにもない状況になっています。
まとめ
請求代行は、会社にとって重要であり、運転資金の根幹である売上代金の回収・整理を代行する業務です。
中でも重要な点が「会社の判断に基づき適正に請求金額が確定していること」で、関連する請求書の作成、発送や消込作業は判断を要しない事務的業務として外部委託が可能なものとなります。
こうした業務の外出しは、社員の退職や病気によって業務が停止するリスクを回避し、安定した体制で業務を回せるばかりでなく、売上拡大のための対策検討など社員でしかできない業務に集中する余裕も創れます。
TOKYO経理サポートは、中小企業とそのオーナーのサポートに強みを持つ「英和コンサルティング」「英和税理士法人」と連携して運営しており、高品質な経理業務をリーズナブルな価格で提供しています。
請求業務だけでなく関連業務もまとめてお引き受けしていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
導入に関するご相談やお見積りは無料です。